こんにちは、かわちゃんです。
私ははじめて大学の授業で3Dモデリングを習い、卒業研究・制作で3D CADと3Dプリンターを使いました。
趣味での作品制作でも、どんどんCADや3Dプリンターを使い、約3年が経ちました。
その中で、デジタルモデリングや3Dプリンター、CAEについて「これは間違ったイメージや知識を持っている人が多いなぁ」と感じた次の3つが本記事の話題です。3D CAD、3Dプリンター、3Dモデリングを始めようと思っている人の参考になればうれしいです。
- 3Dモデリングは絵が描けない人でもできる?
- 3Dプリンタはラピッドプロトタイピング!早く物が作れる?
- Fusion 360のフォーム機能(スカルプト)は粘土をこねるようにモデリングできる?
3Dモデリングは絵が描けない人でもできる?
「3Dモデリングは絵が描けない人でもできる!」とよく耳にしてきましたが、これは少し誤解があります。正しくは、「線がきれいにひけなくても、形が想像できれば3Dモデリングできる」だと思います。
3Dモデリングをするには、作りたい形をイメージできなくてはいけません。絵が描けるということは、形が想像できていると解釈できますが、一方で、あまり形が想像できていなくても絵なので誤魔化すこともできます。つまり、絵が描ける人でも形が想像できていなければ3Dモデリングはできませんし、絵が描けなくても形が想像できれば3Dモデリングできるのです。
スケッチが下手だからという理由で、3Dモデリングをしよう、と考えている人は、一度「形が脳内にイメージできているか」を気にしてみるといいかもしれません。
3Dプリンタはラピッドプロトタイピング!早く物が作れる?
卒業制作の締め切りがせまってくると「こういうの作ってよ。すぐにできるんでしょ?」とよく頼まれたものです。たしかに、ラピッドプロトタイピング、3Dプリントですぐに試作!などと聞くと、1時間もあればできるのかな~、という気持ちになるのは分かります。
が、しかし!3Dプリンタで早く作れるというのは、「粘土をコネコネしたり、スタイロを削ったりする作り方に比べたら早いし正確」ということです。比べたらですよ!!コンビニでコピーをとるようなイメージで「3Dプリンタ=早い」と思っていると、いや全然遅いやん・・・とがっかりすることになります(泣
3Dプリント自体は数十時間~数日かかることもありますが、3Dプリンターが動いている間に違う作業ができるメリットがあります。手作業で作る場合、作っている間はそれ以外の作業ができませんから、これは大きなメリットですね。
Fusion 360のフォーム機能(スカルプト)は粘土をこねるようにモデリングできる?
Fusion 360のフォーム機能はよく粘土に例えられます。しかし、私はこの例え方に納得していません(笑)
私なりに解釈すると「パラメトリックな制御(数値による制御)ではなく、感覚的に制御できるモデリング」というのがしっくりくるかもしれません。
Fusion 360のフォーム機能はT-splineモデリングと呼ばれる方法です。こんな動き。
いや、これは粘土の動きではないよね・・・?!
これがなぜ粘土と呼ばれるか考えると幅50mm、奥行100mm、高さ20㎜の直方体といった具合に、数値でパラメトリックにモデリングするやり方に比べると、「このぐらいの形」「ちょっとだけ伸ばしたい」と感覚的に操作できるからなのではないかなー、と推測しています。
ちなみにMeshmixerのスカルプトはこんな感じ。MeshmixerはAutodeskが開発している無料の3Dソフトです。
こっちの方が粘土っぽくないか?!
Fusion 360のフォーム機能がT-splineモデリングであるのに対し、Meshmixerはポリゴンモデリングと呼ばれる方法。3Dデータの小さなパッチの1つ1つを動かすことで形を変えていきます。
※ポリゴンモデリングというと、CG系のソフトでも使われる方法ですが、こちらはまた少し様相が異なります。
ということで、あくまで私の考え方ですが、Fusion 360 のT-splineモデリング=感覚的なモデリング、Meshmixerのポリゴンモデリング=粘土っぽいモデリング と思っています
まとめ
以上、よく誤解されていること3つでした。急速に変化しているデジタル環境では、宣伝の方法や、情報発信する人の経験の差によって、色々と誤解をまねく表現が多いなぁ、と感じます。そんな誤解を少しでも訂正したい!という記事でした。
個人でもものづくりができる時代になってきて、3D CADやプリンターにに興味を持っている人も多いと思います。そんな人たちの「思ってたのと違う(泣)」というがっかりが減って、ものづくりを楽しむ人が増えたらいいなぁ。
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