今回、自作したプリント基板を使用して、モータドライバの試作機をつくりました。試作したモータドライバは、回転方向の変更は不可能で、回転スピードを変動させるものになります。まずは試作品の動作を以下の動画でご覧ください。
マイナスドライバーで可変抵抗(抵抗値が変化する抵抗器)のつまみを回すことで、モータの回転スピードを変化させています。音の違いで回転スピードの変化を感じ取ることができるのではないでしょうか。
また、回転スピードの変化が分かりやすくなると思い、モータの軸に羽となるような「ヒラヒラ」を自作して取り付けました。「ヒラヒラ」の回転スピード最大の荒ぶり具合が私のお気に入りです(笑)
上図が今回試作した基板になります。上図基板右にボタン電池ボックス用のスペースを設けていましたが、ある理由により使用断念に至りました。
なぜボタン電池では駆動しないのか?
モータをボタン電池で一度駆動してみました。すると、初めは問題なく回りましたが、時間(数分)が経過するにつれて、モータの回転速度は次第に減速し、最終的に回転が止まりました。
「電圧値がモータの駆動電圧に対して十分であれば駆動は可能である」という安易な考えで基板を作成してしまいましたが、バッテリーの容量を考慮し、(モータを安定的に回転させるのに)適切なバッテリーの選定を行う必要がありました。
バッテリーの容量とは
バッテリーの容量は[mAh]で表されます。この単位は一時間の間に1mAの電流を供給できることを表します。乾電池とボタン電池の容量を比較します。
バッテリー容量 | |
ボタン電池 | 210[mAh] |
アルカリ乾電池 | 2000[mAh] |
ボタン電池にくらべてアルカリ乾電池の容量はおおよそ10倍になります。モータが乾電池で駆動できる理由はここにありました。今回使用したマブチモータを適正負荷で運転した時の消費電流は500mA程度ということで、ボタン電池ではその電流を補えません。乾電池はボタン電池に比べて同じ時間で10倍もの電流を供給でき、その差は歴然です。
一方でボタン電池は低消費電力のもの(ストップウォッチ・温度計など)に対しては、乾電池に比べてバッテリーのスペースを小さくできるメリットがあります。ボタン電池の電流容量を考慮せずに、モータを駆動する基板に組みこんでしまったのは、今回の基板設計で一番反省すべき点です。
まとめ
今回自作プリント基板を使用したモータドライバの動作を紹介しました。これは試作となるため、もう少し改良を加えて最終的には「ミニ扇風機」に流用しようと考えています。
次回からはFusion 360のEDA機能で設計し、この試作で使用した基板の回路図(Schematic)・ボードレイアウト(PCB document)・3Dモデルなどを紹介していきます。
がさきぬ
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