前回までリチウムイオン電池の充電用基板を作成するため、Fusion 360のEDA機能を使用して、3Dモデル、シンボル、デバイスを作っていきました。(前回の記事:リチウムイオン電池を充電しよう(その2))
基板は回路図(Schematic)⇒ボードレイアウト(PCB document)の手順で作成されます。その流れに従って今回は回路図(Schematic)を作成します。
参照:秋月電子通商(超小型単セル用リチウムイオン・リチウムポリマー充電コントローラ)
データシート:「MCP73831」
~前回までの流れ~
周辺デバイスの作成
下図はMCP73831のデータシートから抜粋したリチウム電池の充電回路です。これを完成として回路図(Schematic)を作成します。周辺素子としてLED・コンデンサ・抵抗・ピンヘッダが挙げられます。各素子は以下のものを用いて作成します。
参照:秋月電子通商
抵抗:カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/2W470Ω
カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/2W2kΩ
コンデンサ:チップ積層セラミックコンデンサー 4.7μF10V X5R 1608
充電用IC:MCP73831-2ATI/OT
LED:5mm赤色LED OSDR5113A
抵抗・コンデンサはFusion 360に既存のライブラリが存在します。従ってLEDとピンヘッダの2つのみデバイスは下図のように作成しました。
LEDのデバイス ピンヘッダのデバイス
回路図(Schematic)の作成
ファイル >> New Electronics Design >> と進んでいくと下図のコントロールパネルに移動します。
コントロールパネル
コントロールパネル左上に下図のようなツールバーがあります。赤枠を選択し、回路図エディタ-(Schematic)を作成します。
下図が回路図エディタ(Schematic)です。
下図にツールバーのコマンドを示します。
画像の左から順に使用頻度の高いコマンドを説明します。
情報 (Info) | 選択した部品や配線などのプロパティを確認できます。 編集も可能です。 |
グリッド(Gird) | グリッドの表示/非表示・グリッド線の間隔を変更できます。 |
レイヤ (Layer) | レイヤの変更ができます。 |
Add Part | 作成済みのデバイスまたは既存のライブラリのデバイスを新たに配置できます。 |
配線 (Net) | 端子(Pin)同士をワイヤで配線できます。 |
名前 (Name) | デバイスに名前を付けられます。 |
ラベル (Label) | 配線済みのワイヤに名前を付けられます。 |
値 (Value) | 抵抗値・容量値・インダクタンスの値などを明記できます。 |
上記のコマンドを駆使して回路図を作成していきます。
①「Add part」・Moveコマンドを用いたデバイスの配置
デバイスの配置例
②Net・MoveコマンドでPin同士をワイヤで接続
③Valueコマンドで抵抗値・容量値を明記
④ERCコマンドでワイヤの結線に異常がないかを確認
ERCとは?
ERCは回路上の電気的接続に問題がないか否かを判断するコマンドです。場所はツールバーの「VALIDATE」タブにあります。これを選択して何も表示されなければ、回路上の結線に問題は見つからなかったことになります。
ERCの一つ右にErrorsコマンドがあります。これを選択すると下図のウィンドウが表示されます。ERCで問題がなければ全ての項目の括弧内の数字が「0」になります。
一方問題が見つかった場合は下図の様に警告が表示されます。
上図左は「警告ウィンドウ」で、R1(抵抗)の端子(Pin)が一つ接続されていないことを示しています。また、接続されていない端子(Pin)がフォーカスされます。
上図左の「警告ウィンドウ」はR1(抵抗)に値(抵抗値)が明記されていないことを示しています。同様に警告の対象であるR1がフォーカスされます。
今回は回路図作成(Schematic)の作成手順とERCの読み方を紹介しました。次回は基板レイアウト(PCB document)を作成したいと思います。
がさきぬ
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