前回の記事で紹介したデバイスを実際に作ります。ライブラリとデバイスに関しては前回の記事「パッケージジェネレータを使ってみた」をご覧ください。作るものはリチウムイオン電池の充電用基板です。
①リチウムイオン電池の充電用IC
リチウムイオン電池の充電には充電用ICが必要になります。そこで、マイクロチップ・テクノロジー社製の「MCP73831」を使用します。下記のリンクから秋月電子通商さんで購入できます。
参照:秋月電子通商(超小型単セル用リチウムイオン・リチウムポリマー充電コントローラ)
データシート:(MCP73831)
②MCP73831のデバイス作成
…ということで、初めに前回使用したパッケージジェネレータを使って3Dモデルを作ります。下図がFusion 360のパッケージジェネレータ機能で設定したパラメータになります。
パッケージジェネレータの入力画面
外形寸法パラメータ(データシート抜粋)
データシートを参照しながらパラメータを入力し、プレビューを作成しました。
MCP73831の3Dモデル
MCP73831の実物(左)とモデル(右)の比較
パッケージジェネレータは3Dモデルとフットプリントを同時に出力します。下図がそのフットプリントになります。
パッケージジェネレータが出力したフットプリント
パッケージジェネレータが出力したフットプリントとデータシートの推奨ランドパターン(フットプリント)を比較します。下図はMCP73831の推奨フットプリントです。
MCP73831の推奨フットプリント(データシート抜粋)
「MCP73831の推奨フットプリント(データシート抜粋)」のXとYはパッドの寸法を表しています。
SMDパッドのプロパティ
上図はMCP73831のSMDパッドのプロパティをあらわします。Smd Size(上から4段目)の欄にSMDパッドの寸法がY×Xで表示されています。約1.41×0.59になっています。推奨のパッド寸法は1.1×0.6で、パッケージジェネレータの出力とほとんど同じです。表面実装部品はパッドのサイズによってはんだ付けの難易度が変わってくるため、パッドサイズは大き目がおすすめです。
次に、5つあるパッドに名前をつけます。名前は各パッドの役割を表します。下図はデータシートの冒頭に記載されているピン配置と回路例です。右の回路例を基板に実装したいと思います。左のピン配置を参考にしてフットプリントのパッドに名前を付けます。
ピン配置 典型的な回路例
下図の赤い四角で囲ったところにネームコマンドがあります。キーボードの「N」がショートカットキーとして使えます。
ピン配置をみながら下図のように番号を設定しました。
フットプリントや推奨ランドパターンをご覧になると、左上に丸印があるのが分かります。ICのピン番号は丸印を1番として反時計回りに増えていきます。従って
1.STAT
2.VSS
3.VBAT
4.VCC
5.PROG
という様になります。
ピンの役割り(データシート抜粋)
上図に各端子の説明が表記されています。
1.STAT
充電の状況を出力します。VDD(電源)とSTAT間にLEDが挿入されているので、LEDの点滅で充電の状況が分かります。
2.VSS
電源のマイナス(-)側(GND)を表します。
3.VBAT
リチウムイオン電池を充電します。このICの出力です。
4.VDD
電源のプラス(+)側を表します。
5.PROG
電流量の調節(抑制)と充電の制御が可能かどうかを確認できます。
今回はパッケージジェネレータを使ってMCP73831の3Dパッケージとフットプリントを作成しました。次回にシンボルの作成とデバイスによる関連付けをしたいと思います。
がさきぬ
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